マイナンバー法等改正法案の参院本会議採決に抗議、保団連

マイナンバー法等改正案に反対します。

マイナンバー法等改正法案の参院本会議採決に抗議、保団連

レポート 2023年6月2日 (金)  橋本佳子(m3.com編集長)

 

 全国保険医団体連合会は6月2日、参議院本会議で健康保険証を廃止し、マイナンバーカードへの一体化を含むマイナンバー法等改正法案が可決、成立したことを受け、緊急記者会見を開き、抗議の声明を公表した。

 会長の住江憲勇氏は、「無保険者を政策的に生み出す愚策と言っても過言ではない。国民皆保険制度を大きく崩壊に導くものと言っても過言ではない」と語気を強めた。改正法の施行が2024年秋以降になると見据え、実態を明らかにし、法の廃止に向けたあらゆる取り組みに全力を挙げていく方針。

 健康保険証廃止法案は、「保険者が全ての被保険者に健康保険証交付する義務を、被保険者からの申請主義に転換するもの」という、従来の主張を繰り返した。マイナ保険証でオンライン資格確認ができず、10割全額負担となったり、誤情報のひも付けなどのトラブルを問題視。20の附帯意見のうち、10がマイナ保険証に関するものであるとも指摘。「他人の医療情報は、投薬・治療情報の取り違いにつながり、医療事故を招きかねない重大問題だが、不都合な事実を隠蔽し、政府は現場に責任を押し付ける中で、採決を強行したことは断じて許されるものではない」(住江氏)。

 緊急記者会見では、全国の保険医協会を通じた調査の最新結果を公表。これまでと傾向は変わらなかったが、6月2日時点で、回答があった4725件のうち、システム運用しているのが3907件、「トラブルあり」2481件(63.5%)だった。トラブルの具体的内容で最も多かったのは「無効・該当資格なし」と表示されたのは1575件(63.5%)だ(複数回答)。

 誤情報のひも付けは、岐阜県保険医協会の調査で、▽双子、夫婦など「生年月日が一緒」だった(2件)、▽新患と通院患者の「同姓ではないが名前が似ている(一字多い)」――などが明らかになっている。

 神奈川県保険医協会でも、5月23日から緊急調査を実施。730件を超す回答のうち、集計を終えた430件のうち、68%がオンライン資格確認のトラブルを経験した。

 マイナンバー法等改正法案は6月2日の参議院本会議で、過半数の賛成を得て可決、成立した(『マイナンバー法等改正法案、参院本会議で可決・成立』を参照)。

シェア

ツイート